
日本電気株式会社 様
空港から手ぶら観光を実現する「Travel Light」。訪日外国人への認知・利用促進に向け、新たなプロモーションに挑戦。

事例概要

経緯
ホテルのプリチェックインと空港からホテルまでの手荷物の当日配送を組み合わせたサービス「Travel Light(トラベルライト)」のローンチを控えた「日本電気株式会社」(NEC)様。旅マエの訪日外国人向けプロモーションの実施にあたり、グローバルな広告配信をサポートするパートナーを探し、複数社を比較されたうえでインフォキュービック・ジャパンをパートナーとして選定いただいた。

対策
ターゲット仮説はミドル富裕層、荷物の多い長期旅行者やファミリー層であるものの、サービスローンチ前で明確ではないため、具体的な国や媒体を絞らず、YouTube動画、Facebook/Instagram、Googleサーチ、インフルエンサー動画など複合的な広告配信を展開。広告配信期間中も、サービス認知・利用促進効果の最大化に向け、効果検証しながら改善強化に取組んだ。

成果
YouTube動画は610万視聴、Facebook/Instagram広告は4,900万インプレッション、GoogleサーチはCTR10%を実現。また、外国人インフルエンサーの配信動画には約4,000件以上の”いいね”が付くなど、想定値を上回る結果となり、Travel Lightの認知訴求に貢献した。また、ターゲット国や有効な訴求軸の再定義にもつながり、施策を通じて得られた知見は、その後の戦略にも活用されている。
お客様の声
「海底から宇宙まで」持続可能な未来を支えるNECの挑戦
日本電気株式会社は、「海底から宇宙まで」をキーワードに、生体認証やAI、5Gなどの最先端テクノロジーを活用した、ITサービス事業や社会インフラ事業を通じて、世界中の多岐に渡る業種のお客さまに幅広く価値を提供しています。また、研究開発など社会課題の解決を起点とする新たな成長事業の創出に取り組んでいます。
所属する「スマートシティ統括部」は、国・地方自治体、民間企業のステークホルダーの皆様と連携しながら、データ利活用を駆使し、「生活者を中心としたまちづくり」で持続可能な社会の実現を目指しています。
その中でも、私どもは「民間共創による街づくり」をミッションとし、「観光と地域の賑わい」をテーマに取り組んでいるチームです。
訪日外国人観光客に快適な旅を、「手ぶら観光」を実現するTravel Light
当社は観光分野において、40年以上にわたりホテル向けの基幹システムや業務効率化支援に取り組んできた実績があり、そのひとつに旅行者のストレス軽減や従業員の負担軽減を目的としたプリチェックインサービスがあります。同サービスを活かし、インバウンドの回復を契機に、顕在化した観光地・交通機関・宿泊施設などの混雑や宿泊・物流業界における深刻な人手不足といった社会課題を解決し、観光立国推進に向けた持続可能な観光地づくりに貢献出来ないかとの想いから企画を練り、配送を担う丸和運輸様、海外OTAのKlook様、複数のホテル様との共創によりこのサービスを立ち上げました。
Travel Lightは、訪日外国人観光客をメインターゲットに、ホテルのプリチェックインと空港での手荷物預かりとホテルへの当日配送を一括で提供するサービスです。これにより、観光客は荷物を預けるためにホテルへ立ち寄る必要が無くなり、「空港からの手ぶら観光」による快適な旅を実現。さらに、公共交通機関などの混雑緩和、広域周遊や消費促進、ホテルの受付業務効率化や再配達不要な効率的な配送にも貢献し、すべてのステークホルダーに価値と利益をもたらす持続可能な観光サービスの実現を目指しています。
BtoC領域への挑戦!訪日外国人に“伝える”ための新たなチャレンジ

Travel Lightの事業検討時にニーズ調査を行った結果、訪日経験者の利用意向は高いものの、手荷物当日配送サービス自体の認知が低く、「荷物が紛失・破損するのでは」といった不安も想定されました。
また、韓国や台湾からの訪日客はリピーターも多い一方で、国内旅行感覚で身軽に来日される傾向があり、長期滞在やファミリー層の方がターゲットとして適している可能性があると判断しましたが、宿泊されるハイクラスホテルの利用者層も考慮すると、どの国のどのような層へアプローチすべきか、明確にできていませんでした。加えて、BtoBビジネスが主軸の当社にとって、コンシューマー向け、且つ海外プロモーションの知見が乏しく、戦略・施策の立案が課題となっていました。
複数の企業からお話を伺いましたが、特定の国や媒体など、単体の施策に絞った提案が多い印象でした。そこで当社のデザイン部門へ相談したところ、過去の取引実績からインフォキュービック・ジャパンさんの紹介があり、今回の相談に至りました。海外向けデジタル広告、インフルエンサーマーケティングまで全方位的にご提案があり、戦略検討もご支援をいただいたこと、対応も単にメールのやり取りだけでなく、ミーティングも行い、レスポンスも迅速且つ丁寧に行っていただいたことが決め手となり、インフォキュービック・ジャパンさんへご依頼することを決定しました。方向性・戦略を明確にでき、丁寧な対応を通じて安心してプロジェクトを進めることができましたし、プロモーション施策を通じた本サービスの認知訴求の結果は、大変満足しています。
複合的なプロモーション施策で想定を上回る成果を実現

実際にプロジェクトがスタートしてからは、月ごとの予算調整や変更にも柔軟に対応いただき、配信媒体との調整、月次での定例ミーティングで施策結果の振り返りや改善提案を行っていただきました。
YouTube動画は610万視聴、Facebook/Instagram広告は4,900万インプレッション、GoogleサーチはCTR10%を実現。また、外国人インフルエンサーの配信動画には約4,000件以上の”いいね”が付くなど、想定値を上回る結果となりました。
インフルエンサー施策については、インフォキュービック・ジャパンさんからの提案を受けて新たにご依頼しました。インフルエンサーによる情報拡散は、想定以上の反響を生む可能性があると感じたことが採用の決め手となりました。今回の施策で起用するインフルエンサーについてはファミリー旅行を主なテーマとして発信している方を中心に複数の候補をご提案いただき、フォロワーの数や過去の投稿傾向などをもとに最適なシンガポール在住のインフルエンサーを選定しました。
一般的に新しいサービスは認知が低く、利用者の口コミ、特にポジティブな体験談の存在が重要となるため、インフルエンサー施策は有効なアプローチだったと感じています。また、インフルエンサーの撮影に帯同し、制作過程を通じて、表情やサービスの感想、どのような点に不便さを感じているかを直接確認できたことは、今後の改善や新たな気づきにもつながる貴重な機会にもなりました。
今回のプロモーションは、観光庁のオーバーツーリズム対策の「マナー啓発」事業として採択されていたため、サービスの認知・利用促進だけでなく、マナー啓発との両立が求められていました。訪日外国人へサービスの魅力を伝えながら、かつ失礼にならない形でマナーを伝えるというのは非常に難易度が高く、クリエイティブでは細心の注意が必要でした。インフォキュービック・ジャパンさんのネイティブスタッフにも確認いただき、メッセージ性を損なわないよう丁寧にチューニングを重ねました。結果、マナー啓発でも効果的な訴求ができました。

Facebook/Instagramでのカルーセル広告 左:サービス訴求、右:マナー啓発
新たに見えてきた海外市場と強化戦略
今回のプロモーションを通して、事前に想定していなかったフィリピン、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国がターゲットとして有望であることや、キーワードや訴求メッセージについてもヒントを得ました。一方で、利用者の獲得数は目標に及ばなかった為、配送先対象ホテルの拡充、空港・ホテル間の配送だけでなく、ホテル・ホテルなど旅ナカ配送の拡充などサービス改善強化を含む戦略・施策に取組んでいく方針です。
また、長くスマートシティ領域で観光に携わる中で感じてきたことの一つに、「正当な対価をいただくべきサービスが無償や割引で提供され、結果的に従業員の負担が増え、事業継続が難しくなる」という懸念があります。たとえば、ホテルでチェックイン前やチェックアウト後の手荷物を無料で預かることが当たり前になっています。破損・紛失なく預かっているのであれば、正当な料金をいただくべきだと考え、Travel Lightの料金設定をしています。「お客様にご満足いただけるサービス、価値を提供し、きちんと対価をいただける」ということを示せるよう、文化の醸成にも貢献できればと思います。
Travel Lightを実際に利用した観光客からは、
・荷物を直接ホテルに届けてくれて、すごく便利だった。
・空港で荷物がなく手ぶらになり、気分も上がりました!
・荷物の破損もなく当日中に届いて驚きました。
・親子旅行で家族の安全を守りながら「手ぶら旅行」を体験できた。
といった声が寄せられています。
Travel Lightを利用することで、手ぶらになったお客様に、移動や観光をさらに快適に楽しんでいただくと共に、広域地域回遊や消費の促進につながるサービスも検討していきたいと考えています。
さらに、スマートシティの文脈では、あらゆる生活者データを活かして人々の暮らしに役立てていくことが目指すべき姿です。Travel Lightで取得できるデータは、訪日客のリアルな行動データであり、十分ではないかもしれませんが、市場を見極めるための指標になると考えています。また、Travel Lightの利用が促進された先には、「媒体」としての役割を担う可能性もあると考えており、実際に「Travel Lightに広告を出せませんか?」というお話もいただいています。
共創を広げ、インバウンドの未来をともに築く

引き続きインバウンド向けのサービス訴求に注力していきますし、インフルエンサー施策も継続したいと思っています。インフルエンサー施策に関しては、サービスの紹介だけでなく、「手ぶらになったその先」の観光体験までを含めたストーリーとして届けていくことで、オーバーツーリズムがどのように解決されたかがより伝わりやすくなります。また、手ぶらになった観光客が訪れる先として、タイアップする企業が増えていけば、一緒にインバウンド市場を盛り上げ、旅行にまつわる社会課題の解決にもつながると考えています。今後もそのような社会課題を一緒に解決していく連携も深められるのではないかとインフォキュービック・ジャパンさんにも期待しています。
私どもは、地方自治体、民間企業と連携しながら、共創によって生活者にとって本当に価値のあるサービスを継続して届けることがミッションです。Travel Light も、まさにその理念を体現する取り組みであると思っています。この記事を通じて「うちと一緒にやろうよ」といってくれる企業様がいらっしゃれば嬉しいですね。