世界の検索エンジン 35選
~2024年注目すべき世界のプラットフォーム一覧~
Googleが主導する検索エンジン市場において、
海外向けにデジタル施策を進める際は、その国や地域で人気の検索エンジンを活用することが海外戦略を成功に導くファーストステップです。そのために、まずはユーザー数の多い「Google」や「Microsoft Bing」を効果的に活用することが重要です。一方で、海外では私たちがあまり知らない、国や地域に特化した検索エンジンも数多く存在しています。
そこで本記事では、2024年、もっとも世界で利用されている人気の高い検索エンジンから、近年注目されている「プライバシーを重視した検索エンジン」、その地域に独自発達した検索エンジンなど、あまり日本人が知らない「世界の検索エンジン」をご紹介します。
目次
2024年 世界の検索エンジントップ6
2024年1月から2024年3月までの期間で、世界で人気の高い検索エンジンは、以下の5選となりました。
世界ランキング | 検索エンジン | 世界シェア率 |
1位 | 91.37% | |
2位 | bing | 3.37% |
3位 | Yandex | 1.64% |
4位 | Yahoo! | 1.1% |
5位 | Baidu | 0.99% |
6位 | DackDackGo | 0.53% |
<参考データ:Statcounter>
※モバイル、PC、タブレットを含む全てのデバイスを含めたデータです。
それぞれの検索エンジンについて詳しくみていきましょう。
1位:Google
ご存知の通り、Googleは日本はもちろん、海外でも最も利用されている検索エンジンの1つです。
1998年に設立されて以来、Googleは検索エンジン市場を独占してきました。Googleの収益の多くは広告によって生み出されています。
2004年4月時点でも世界でシェア率は 91.3% を占めており、インターネットユーザーの10人に9人以上が「Google」を利用しています。デスクトップ検索の世界シェアは 81.63% と年々下落傾向にありますが、モバイル検索のシェアに至っては 95.35% と、他の検索エンジンと比較しても圧倒的に高いシェア率を獲得しています。
ただ、世界的に圧倒的なシェアを誇るGoogleですが、「中国・韓国・日本・ロシア」など、ある地域に限って独自の検索エンジンが大きなシェアを獲得している場合もあり、「世界中どこでもGoogle一強」というわけではありません。デジタル施策を実施する場合は、自社のターゲットに合った検索エンジンを選択する必要があります。
2位:Microsoft Bing
世界シェア2位の Bing は、マイクロソフト社が開発・運用する検索エンジンで、Windows PCにデフォルトで搭載されています。
検索エンジンの世界シェアは3.37%で、世界で2番目に人気の検索エンジンです。Bingが提供するMicrosoft Advertising(Bing 広告)は、Google広告のもっとも一般的な代替プラットフォームとして知られています。2024年3月時点で日本でのシェア率は8.61%を獲得しています。
2010年からはFacebookと連携することで、ソーシャルデータがBingに追加され、よりパーソナライズされた検索結果を表示できるようになりました。検索者のFacebookネットワークや友人との関連性に基づき、個人に合わせた最適な検索結果を表示さることが可能です。中国におけるBingのシェア率は、2022年6.73%だったにも関わらず、2024年3月の時点で14.2%にまで急伸しており今後も成長が見込まれています。
3位:Yandex(ロシア)
ロシア発の検索エンジン「Yandex」は、近年急速にシェアを拡大している検索エンジンの1つです。2023年2月時点の世界シェアは0.85% 程度でしたが、2024年3月には 1.64%と、1年でシェアを2倍に伸ばしています。
世界シェアはまだまだ低いものの、ロシア周辺では活発に利用されており、2024年3月時点のロシアでのシェア率は 69.93% に達しています。ロシア以外にも、トルコやウクライナ、カザフスタンといったミドルイーストやインドネシアなどでも人気の検索エンジンです。ベラルーシ・カザフスタン、ウズベキスタン、トルコ・インドネシア語に対応しています。
- ロシア : 69.93%
- ベラルーシ : 33%
- トルコ : 26.49%
- ウズベキスタン : 23%
- カザフスタン : 21.65%
- ウクライナ : 9.95%
- アゼルバイジャン : 6.74%
YandexもGoogleと同様に検索エンジンとしての機能以外に無料メールや地図、ストレージ、電子取引などの多機能なサービスを利用することができます。近年では、Yandexに搭載されている「Alice」と呼ばれるAIアシスタントは、「Siriよりロシア語が堪能」と高く評価されています。
4位:Yahoo!
Yahoo!はアメリカ発祥の検索エンジンであり、世界シェアは 1.1% ほどを占めています。
検索トップページには、ニュースや時事情報などさまざまなコンテンツを掲載しています。日本では現在でもシェア率は11.41%と、Googleに次いで2番目に多く利用されており、根強い人気を獲得しています。
日本のYahoo! Japanは、Googleの検索アルゴリズムを採用しているため、広告出稿時には注意が必要です。Googleアルゴリズムは検索ユーザーの検索意図を重要視していますが、Yahoo!は注目されるコンテンツ・サービスの拡充に焦点を当てています。広告運用を行ううえで、海外と日本のアルゴリズムの違いを理解する必要があります。
5位:Baidu 中国
世界シェア5位は、中国独自の検索エンジンBaiduです。
世界シェアは1%程度ですが、ネット検閲システム「グレートファイアウォール」が存在する中国で 60.44% ほどのシェアを獲得しており、中国で最も人気の高い検索エンジンです。2001年にサービスが開始された後、徐々に人気を獲得し、2024年4月現在でも中国検索エンジン市場で長年不動の人気を獲得しています。
中国マーケットに関心のある外国人の利用も増えてきていることから、世界的にも知名度が向上している検索エンジンの1つです。月間ユーザーは8億人以上と言われています。
Baiduは検索したキーワードに関連する情報を幅広く提供しています。また、Baiduは関連する情報を表示するだけでなく、「購入」までの流れに重点を置いており、「購入・決済ページ」をダイレクトに提供する仕組みになっています。中国市場に関してBaiduでないと得られない情報も多くあり、中国語の検索では精度の高い検索結果を提供しています。
6位.DuckDuckGo
アメリカで開発された検索エンジンDuckDuckGoの最大の特徴は、「利用者のプライバシー保護」に特化してた検索エンジンです。
GoogleやBing、Yahoo! といった、ほとんどの主要検索エンジンは利用者の検索履歴などが自動的に情報収集される仕組みになっていますが、「DuckDuckGo」では個人情報を収集・保存されず、検索履歴が一切残らない仕組みのため、プライバシーに重点を置く若者から高い支持を集めており、近年徐々にに人気が高まってきている今注目の検索エンジンです。
2024年 注目すべき「プライバシー重視」の検索エンジン 8選
近年、デジタルプラットフォームにおける、プライバシー保護への関心が高まるなか、大きくシェアを伸ばしてきているのが、「プライバシーを重視した検索エンジン」です。特にGDPRなどの規制強化の影響を受けるヨーロッパでは、プライバシー重視した検索エンジンの人気が顕著に高まってきています。
検索履歴を保存しない・個人情報を収集しない・トラッキング技術を使用しないなど、ユーザーのプライバシー保護に配慮した検索エンジンをご紹介します。
Qwant(フランス)
Qwantは、フランス・パリに拠点を置く検索エンジンサービスです。「プライバシー保護」と「中立性」を重視し、ユーザーデータの収集やCookie/追跡技術の使用を一切行わないことをポリシーとしています。加えて、ユーザーデータの販売も行っていません。
Qwantの検索結果は、政治、経済、社会基準に基づく偏見などを反映しておらず、情報の中立性と公平性を保証しています。さらに、Googleアルゴリズムが推奨するような検索結果とは大きく異なり、多様な意見を含む複雑な世界の現実を反映しています。近年、6歳~13歳までの子供向けQwant Juniorを開発しており、子供には不適切な検索結果や商用広告は表示されない仕組みを構築しています。
フランス政府はQuantの利用を推進しており、現在ヨーロッパ市場を中心に成長しています。日本での利用は現状できませんが、将来的には日本市場への展開も検討されているようです
Ecosia(ドイツ)
Ecosiaはドイツで創業されたユニークな検索エンジンです。
Ecosiaは他のほとんどの検索エンジンとは異なり、検索履歴に基づいてユーザー個人のプロフィールを作成することもなく、すべての検索履歴を 1 週間以内に匿名化します。広告主にユーザーの個人データを販売も行っておらず「透明性が高さ」が評価されている検索エンジンの1つです。
さらに、広告収入の80%は「植樹活動」に寄付する取り組みを行っており、環境問題の解決に貢献しています。Ecosiaで行われる検索行動の約45回に1本の木が植樹される仕組みで、現在までにECOSIAコミュニティによって植えられた木は1億7000万本以上に達しています。「検索エンジン×エコ」が連携した画期的な仕組みにより、ヨーロッパを中心に理念に共感した若者の利用者が増加しています。
持続可能性を重視した、プライベートな検索体験を求めるユーザーには最適な選択肢と言えるでしょう。
Startpage.com(オランダ)
オランダ、ニューヨークに拠点を置く Startpage.com は、ユーザーの検索結果を追跡しない「The world’s most private search engine / 世界で最もプライベートな検索エンジン」をキャッチフレーズに掲げ、「プライバシー最優先」で知られる検索エンジンです。
Startpage.comの大きな特徴の1つは、Googleの検索結果を利用したプライバシー重視の検索です。Startpage.comでは、検索結果はGoogleを表示するのですが、仲介役として間に入ります。Start Pageがプロキシとして機能し、全てのトラッカーとログが削除されるため、検索履歴がGoogleに残らない仕組みです。もちろん Startpage 内でも個人情報が収集されることはなく、個人情報の開示やデータの販売なども行われておらず、「世界で最もプライベートな検索エンジン」と呼ばれる所以です。
StartMailというプライバシー保護電子メールサービスも提供しており、徐々にサービス領域を拡大しています。日本語を含む50以上の言語に対応しており、2023年の月間アクティブユーザーは3000万人ほどと言われています。
Fireball(ドイツ)
ドイツのベルリン発のFireballは、ドイツ語と英語での検索が可能な検索エンジンです。
その歴史は古く、1996年に設立された当初はドイツ国内で非常に人気の高い検索エンジンでしたが、その後、Googleの台頭により勢いを失いました。2016年に独立した企業として再スタートを切りましたが、2000年にはLycos Europeに買収され、さらに2022年2月には英国CentralNic Group Plc (AIM:CNIC)に買収されています。
さまざまな買収によって紆余曲折ありましたが、現在もFireballは利用可能で、検索結果はBingに基づいています。
検索履歴を保存せず、個人情報の収集、販売は行われていません。さらに、検索結果アルゴリズムは公開されており、透明性が確保されています。検索結果の偏りも排除して公平性を保つなど、プライバシー保護に重点を置き運営されています。
WEB.DE(ドイツ)
1995年にサービスを開始したWEB.DEは、ドイツ語の検索に強いことに加え、ニュース、天気予報、スポーツ、エンタメなど幅広い情報を提供するポータルサイトとしても人気で、ドイツ国内では高い人気を獲得しています。
同社が提供しているフリーメールサービスやクラウドサービスは、60か国以上で利用されており、国を跨いで人気のあるサービスです。近年ではモバイルアプリもローンチし、モバイルデバイスからの検索はもちろんのことニュースを読んだり、動画視聴も可能になるなどさまざまなサービスを提供しています。
WEB.DEではユーザーの検索履歴を保存する期間を設けたり、第三者に個人データを販売しないなど、ユーザーのプライバシー保護に配慮した運営がなされています。電子メールサービスやクラウドコンテンツでは、検索を実行するとエンドツーエンドで暗号化するなど、データセキュリティにも重点が置かれ運営されています。
Yandex(ロシア)
先述したロシア発のYandexは、ユーザーのプライバシー保護に重点を置いて運営されています。
創業への経緯は興味深く、1993年から1996年にかけて、聖書を検索するための検索技術の開発によって誕生した検索エンジンです。もともとはロシアのみで利用可能でしたが、現在はグローバル英語版を利用することができ、ベラルーシ、カザフスタン、トルコ、ウクライナといった東欧諸国の情報に強い特徴があります。
Yandexは「ローカルSEO」と「地域性」を重要視する検索結果を表示する傾向があり、Googleとは異なるアルゴリズムを採用しています。さらに、ユーザーの検索履歴を最小限に抑え、匿名化するなど優れたプライバシーシステムを提供しており、ユーザーのプライバシー保護に配慮した取り組みは、世界的に高い評価を受けています。
Search Encrypt
Search Encrypt は2016年に設立された検索エンジンです。
ユーザーの検索語句と検索履歴のプライバシーに重点を置いており、検索語句を暗号化することでユーザーのプライバシーを強化します。
ユーザーが検索行動を行うと、高度なSSL暗号化によってサーバーに送信される前に検索語句をローカルで暗号化を行います。そのため、サーバー側で検索履歴を保存せず、検索履歴を表示することはできません。さらに、閲覧履歴も暗号化キーの有効期限が切れにより消去されるため、検索用語の機密性が保たれています。
Encrypt は従来の検索エンジンと同様、使いやすいインターフェイスでストレスなく検索でき、Google Chrome や Mozilla Firefox のブラウザー拡張機能としても利用することが可能です。
Qmamu(インド)
Qmamuは、2021年にインド初の国産検索エンジンとして、インド市場に特化した検索エンジンとして誕生しました。Qmamuは検索以外にも、 画像、動画、ニュース、ショッピングなどのさまざまな機能を利用することができます。
Qmamuの大きな特徴の1つは、ユーザープライバシーを最優先していることです。ユーザーの個人情報やその他のデータを収集・保存することなく、検索履歴を完全にプライベートに保ち、同時にデータを不正なユーザーやアクセスから保護します。
Qmamuの検索アルゴリズムはインドのローカル情報を重利しており、インドに関連するウェブサイトやコンテンツを優先的に表示します。シンプルなインターフェイスに加えて、広告表示が少ないため、高い人気を獲得しています。
将来的にはモバイルアプリもリリースされる予定です。
各国で独自に発達した海外の検索エンジン
世界には国や地域によって利用される検索エンジンが異なります。
主な違いはその国や地域で利用される言語や規制などによって異なります。各国で独自に発達した検索エンジンをご紹介します。
Sogou(中国)
Sogou(捜狗)の中国におけるシェアは約4.2%を占めており、中国検索エンジン市場のシェア4位に位置しています。1日のアクティブユーザー数(DAU)は約4億5,000万人ほど。
2013年、中国 Tencent が Sogou を買収したため、現在は WeChat (中国で人気のSNS)から検索を行うことができるようになりました。さらに、Tencentが開発したQQブラウザーのデフォルトの検索エンジンになっています。
中国におけるデスクトップだけのシェアを見ると、2023年6月時点には 30%ほどを推移していましたが2024年現在は 7%ほどを推移しています。
Ask.com(アメリカ)
アメリカで開発された検索エンジンです。2010年に検索エンジンの新規機能に関する開発は終了しましたが、現在でも検索エンジン機能は利用でき、アメリカ国民を中心に利用されています。
Ask.comでは、検索エンジンやQ&Aサイトを提供するポータルサイトです。日本語を始めとした多言語での検索が可能であることから、世界においても一定の需要を獲得しています。
Wolfram Alpha(イギリス)
イギリスの論理物理学者によって作成された知識・計算・情報に特化した検索エンジンで、2009年にサービスが開始されました。通常の検索エンジンでは入力したキーワードに関連した検索結果が表示されますが、Wolfram Alphaは数学・物理に関連した質問の問いを回答するというユニークなシステムが基盤に置かれており、この機能が様々に代用され検索エンジンとしての働きも担っています。
2018年からは日本語版、2022年からはスペイン語版を利用可能です。
自然言語と数式入力が可能で、通常の検索エンジンでは入力することが出来なかった計算式を入力することができます。さらに2023年3月からはChatGPTと連携し、ChatGPT内にWolfram プラグインをインストールすることで、ChatGPT内からWolfram Alphaの高度な計算知能を利用することができるようになりました。( ChatGPT Plus ユーザーのみが利用で可能)
<“x^2+9y^2+4z^2-1=0″という計算式を検索入力してみると、図式が表示されました。>
Dogpile(アメリカ)
様々な検索エンジンの結果を統合して示すメタ検索エンジンとして有名です。WWW、Usenet FTBを同時に、もしくは別々に検索できることが特徴です。アメリカ発の検索エンジンで、現在アメリカ国内でのシェアは高くはありませんが、検索結果をバランスよく表示することから一部のファンから支持を受け利用されている検索エンジンです。
AOL.(アメリカ)
AOL.の前身であるAmerica Online は1985年に設立されました。
創業当初はAppleのマッキントッシュのみにサービスを提供し、1993年にはMicrosoftなどにも拡大。2000年代に急成長を遂げ一時はGoogleを脅かす存在になるともいわれた検索エンジンですが、現在は世界およびアメリカでのシェアは低調です。 2006 年に正式に AOL.に社名を変更しました。
現在、AOL.は、検索エンジンサービスだけでなく、米国最大のインターネット アクセスサブスクリプション サービス会社の 1 つであり、電子メールをはじめ、AOLインスタントメッセンジャー (AIM) ソフトウェア、AOL ビデオ、ビデオ検索、ニュース、スポーツ、天気などのさまざまなウェブサービスをを提供しています。
AOL は、Google から主要な検索結果リストを受け取り、DMOZからいくつかの Web ディレクトリ リストを受け取ります。検索結果にはリスティング広告が表示されない点は特徴の一つです。
Lycos(アメリカ)
Lycosは1994年にカーネギーメロン大学の研究チームによって開発された、歴史の古い検索エンジンです。現在、アメリカを中心に世界各国にて利用されていますが、国によっては検索結果が表示されない状態になっています。過去に、様々な国の企業によって買収されながらも知名度を獲得していった独特な背景を持つ検索エンジンです。
Lycosは、高速で信頼性の高い検索・ユーザー行動に基づくパーソナライズされた検索結果を表示する、高度なフィルタリングオプションなど、検索エンジン業界では高い評価を獲得しています。Lycos は Yahoo! から検索結果を取得していて、日本語を含む13言語が利用可能です。
Metacrawler(アメリカ)
アメリカに拠点を置く検索エンジンで、Google、Yahoo!、bing、Ask.comなどのアメリカ発の世界主要検索エンジンを統合したメタ検索エンジンとして知られていましたが、2017年に独自の検索エンジンとして再スタートを切り、今後の動きに注目が集まっています。
WebCrawler(アメリカ)
アメリカに拠点を置く検索エンジンで、GoogleやYahoo!、Bingなどの有名な検索エンジンの検索結果を混合したメタ検索エンジンとして有名です。Googleと比べ、リスティング広告が非常にはっきりと示されているため、検索結果と広告の境界が非常に分かりやすい検索エンジンです。
Rediff(インド)
インドのムンバイに拠点を置く検索エンジンで、1996年に設立された後、現在はバンガロール、ニューデリー、ニューヨークにオフィスを構えるなど着実に拡大を図っています。Rediffでは検索エンジンの他にニュース、ショッピング、メールサービスおよびエンターテイメントポータルなどさまざまなサービスを提供しています。
インド国内ではGoogleのシェアが9割を超えているため、Rediffのシェアはごくわずかな割合ですが、Similarwebでのトラフィックを見てみると、2023年1月には48M(4800万)ものトラフィックがあることがわかります。約14億の人口を抱えるインド発の検索エンジンということもあり、今後の動向に注目したいところです。
インドからの流入はもちろんですが、アメリカ、オーストラリアからもアクセスが集まっています。
Walla!(イスラエル)
1995年に設立されたWalla! Communications Ltd.(ヘブライ語: וואלה! תקשורת בע”מ)が提供する「Walla!」は、テルアビデに本社を置く、イスラエル発の検索エンジンです。ヘブライ語に対応しており、イスラエル内で最も人気のあるサイトの1つです。
Sililarwebでのトラフィックを見てみると、2023年1月には110.2M(1億1000万)ほどのトラフィックを獲得しており、その人気ぶりが伺えます。そのうちの93%ほどがイスラエル内からのアクセスでした。
イスラエル内ではGoogleのシェアが約90%を占め、Walla!のシェアは10%未満といわれていますが、イスラエルはスタートアップ大国としても知られており、今後「Walla!」を始めとしたイスラエル発の検索エンジンの世界的知名度が向上することは十分考えられるでしょう。
Seznam(チェコ)
Seznamはチェコ共和国に拠点を置く検索エンジンで、チェコで初めての検索エンジンとして注目を集めました。
2012年~2014年頃まではシェア率は42%前後でしたが、現在チェコでのシェアは11.32%程度にとどまっています。しかし、独自の検索エンジンがGoogleと対抗しているという意味では、中国のBaiduやロシアのYandexと同様に、世界で見ても非常に珍しい例の1つです。
特にデスクトップのシェア率を見てみると、時期によって変動はありますが18%前後を推移しており、チェコ国内では多くのユーザーに利用されていることがわかります。
NAVER(韓国)
韓国発の検索エンジンのNAVERは、韓国国内のシェアはGoogleに続く第2位で、2023年2月時点で約35%のシェアを獲得しています。
NAVERの検索システムはGoogleとは異なり、検索結果をブログやYAHOO!JAPAN知恵袋に該当するQ&Aサービス「知識iN」、Naverショッピングなど「関連分野」ごとに分類して表示するため、視認性が高く使い勝手のよい検索エンジンとして知られています。
1999年にSumsungの元従業員グループによって創立され、検索機能はもちろんのこと、ニュース・画像・動画・ショッピング・ブログなど韓国独自のポータルメディアであり、「韓国のGoogle」と呼ばれたりもしています。NAVERはYahooのOverture Systemを活用していましたが、現在では独自のAI推奨モデルに基づく自動提案を行っています。NAVERの検索結果はユーザーの年齢、性別、場所に基づいて表示されるだけでなく、多くの部分でUGC(ユーザー生成コンテンツ)が表示される傾向があります。
Daum(韓国)
Daumは韓国発の検索エンジンで、韓国検索エンジンシェア第3位、約10%弱を占めています。
1997年、韓国初の無料ウェブメールである「ハンメール(hanmail)」サービスを開始。2000年には検索サービスを開始し、オンラインコミュニティサービスの「カフェ」やニュースサービスの「ニュース」などを次々にリリースし、インターネットポータル企業として成長しました。
現在はメッセンジャーアプリで韓国シェア90%近くを誇る「カカオトーク」と連携し、カカオトークアプリ内の言葉に関する検索結果が容易に確認できるようになりました。新たな戦略とともに、今後どのような成長をみせるのかに注目が集まります。
Coc Coc(ベトナム)
CocCoc(ノックノック)は、ベトナム初の検索エンジンで、2013年にリリースされた比較的新しい検索エンジンです。ベトナム国内での利用に焦点を絞って展開することで人気を獲得し、現在ベトナム国内ではGoogleに次ぐ第2位のシェア、モバイルユーザーは2900万人を誇っています。
2022年7月には、ベトナム情報通信部から国民デジタルプラットフォームとして選出されています。中国BaiduやロシアYandexのように国家のバックアップ体制があるプラットフォームはまだまだ伸長する傾向があるため、今後の動きは注目されています。
Leit.is(アイスランド)
1996年にサービスが開始されたLeit.isは、アイスランドで設立された検索エンジンです。
アイスランド語および英語での検索が可能です。アイスランドで最も利用されている検索エンジンはGoogleですが、Leit.isの今後の動きに注目が集まっています。
Egerin(スウェーデン)
2013年にサービスを開始したEgerinは、スウェーデンに住むクルド人によって設計された検索エンジンとして知られています。
主要検索エンジンではクルド語を使用できないものも多く、クルド語で検索できる検索エンジンを作成したいという思いから設計されました。世界に4000万人以上いると言われているクルド人を対象とするEgerinは、Bingの検索システムを利用しており、クルド語、ソラニ―語、トルコ語などの言語が利用可能です。
Webページとメタデータが検索結果に表示され、ユーザーは動画、画像、ニュース、ブログなどを検索することも可能です。
Najdi.si(スロベニア)
Najdi.siは、スロベニア発の検索エンジン及びポータルサイトです。
2023年2月の時点のスロベニアでのシェアは0.24%と低調ではあるものの、母国語であるスロベニア語での検索に強く、比較的年齢層が高い傾向にあります。スロベニアでは多くの人に愛用されています。
Search.ch(スイス)
Search.chはスイス・チューリッヒに拠点を置く検索エンジン及びポータルサイトです。Search.chでは、特定の地域や都市に制限した検索結果が表示される仕組みであるうえ、スイスの公用語の1つであるロマンシュ語による検索も可能なため、スイス国内では一定の需要がある検索エンジンです。
スイスからのアクセスが90%以上を占めていますが、近隣諸国であるドイツ、オーストリア、チュニジアなどからも流入が見られます。
Ilse(オランダ)
1996年からサービスを開始したIlseは、オランダで初めての検索エンジンとして知られています。正式名称は「Inter link Search Engine 」です。
オランダ国内ではGoogleとBingが約98%のシェアを獲得しており、Ilseを利用するユーザーは稀ですが、オランダ語に強い検索エンジンであるため、一部の人たちによって利用されています。
Entireweb(スウェーデン)
Entireweb.comは、2000年からサービスが開始されたスウェーデン・ハルムスタット発の検索エンジンです。スウェーデンでもGoogleとBingが多くのシェアを獲得していますが、Entirewebはスウェーデン語と英語での検索が可能であるため一部の人々によって利用されています。
Googleの検索エンジン同様に、検索キーワードに関連するウェブページ、写真、動画、ソーシャルメディアサイトなどを検索結果に表示します。
Maktoob(アラブ首長国連邦)
<2009年時点のMaktoob>
Maktoobは、アラブ首長国連邦のドバイに拠点を置くオンラインサービス会社が提供する検索エンジンです。ヨルダン、クェート、エジプトなどアラビア語圏のインターネットユーザーの3人に1人が利用していると言われるほど、人気の検索エンジン・ウェブポータルでしたが、2009年にYahoo!によって買収されました。
現在はYahoo!にアラブ語コンテンツが追加され、Yahoo!メッセンジャーやYahoo!メールをアラビア語で利用できるようになりました。2023年現在、MaktoobはYahoo!の完全所有子会社になっています。
さいごに
Googleは依然として世界で最も利用されている検索エンジンですが、近年はプライバシー重視、セキュリティを強化した検索エンジンや、特定の言語や地域に特化した検索エンジンなど、独自の価値を提供する検索エンジンの利用が増加している傾向が伺えます。
広告出稿はもちろんのことSEO対策も検索エンジンによって手法は異なります。まずは自社のターゲット国・地域に最も最適な検索エンジンを把握することが大切です。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。