コンテンツマーケティング時代到来!
「最適なコンテンツフォーマットの選び方」
現在のデジタル戦略において、必要不可欠な「コンテンツ」。
近年では「コンテンツマーケティング」の重要性を理解し、世界中の多くの企業が、何らかの形で情報発信を行っています。しかし、既にオンライン上にさまざまなコンテンツが溢れている現在は、闇雲にコンテンツを制作し情報を発信していては、自社コンテンツがユーザーの目に留まることは容易ではありません。
効果的なコンテンツマーケティングを実施するには、コンテンツの中身やプラットフォームなど、考慮しなければならない点がたくさんあります。そのなかでも重要な要因の1つとしてコンテンツフォーマットも重要視されています。ブログや動画はもちろんのこと、インフォグラフィック・ebookなど様々なタイプのフォーマットがあり、ターゲットや業種によっても「最適なフォーマット」は異なってきます。
そこで本記事では、コンテンツマーケティングの基本やコンテンツフォーマットの特徴を理解して、自社ビジネスに最適なフォーマットを見つける方法を詳しくご紹介していきます。
「コンテンツマーケティング」とは?
コンテンツマーケティングとは、文字通り自社が発信するコンテンツを通じて、新規顧客の開拓や既存顧客の関係性維持を目的とするデジタルマーケティング戦略の一環です。
こちらの記事でもご紹介していますが、コンテンツマーケティングでは、購買ファネルの最上部である「潜在層」から「既存顧客」までの幅広いターゲットに向けて、最適なフォーマット・適切なプラットフォームを通じて「ユーザーの興味・関心」の高い、価値のあるコンテンツをユーザーに提供していきます。つまり、質の高いコンテンツを提供し、潜在顧客から見込み客を惹きつけ、製品やサービスのファンを増やすことを目標にし、長期的な目線で運用を続けていくことが必要な施策となります。
コンテンツマーケティングはリードの獲得・購入といった刈り取り型の施策ではなく、ブランド認知や自社想起といったリード創出(リードジェネレーション)を目指します。
コンテンツフォーマットの特徴を知る
ブログ
コンテンツといえばまず頭に浮かぶのがブログではないでしょうか。ブログコンテンツは比較的安価で量産しやすいフォーマットであるため、最も費用対効果が高く、非常に長く利用されてきたコンテンツフォーマットです。ブログコンテンツはSEOを高める上で最も効果のあり、ウェブサイトのトラフィックを増やすための優れた方法です。コンテンツマーケティング戦略における基礎と言えるでしょう。
ブログコンテンツは検索からの自然流入において効果を発揮します。また、定期的に公開をし続けることで、より高い効果を得ることができるでしょう。ユーザーの悩みや質問を解決に導いたりすることで、その分野での権威を確立することもできます。
<インフォキュービック・ジャパン英語サイト‐ Blog>
コンテンツ寿命が短いソーシャルメディアコンテンツに比べて、コンテンツ寿命が長いのがブログコンテンツの特徴です。
インフォグラフィック
インフォグラフィックは画像、ベクター、グラフィック、タイポグラフィーなどを駆使してユーザーに対して視覚的に必要な情報を伝達するコンテンツフォーマットです。
インフォグラフィックの利点はユーザーが時間をかけることなく視覚的・直感的に情報を伝達できることです。グラフィック要素を適切に配置し、ユーザーを視覚的に惹きつけることを意識して作成します。インフォグラフィックコンテンツの制作プロセスはブログコンテンツと同様ですが、最終的にはグラフィックの技術が必要になります。ストーリーが伝わる適切な構成と見出しと、ユーザーが興味を引くような小見出しをつけましょう。視覚的に魅力的であることが大前提です。
インフォグラフィックをウェブサイトに公開する場合、ダウンロード可能な埋め込みコードを組み込むことでバックリンクを獲得する可能性も高くなります。また、インフォグラフィックはソーシャルメディアとの相性が良く、共有されやすいコンテンツフォーマットと言えるでしょう。ただ、比較的エンゲージメントに繋がる可能性は低いコンテンツとなります。
動画
動画は企業やブランドにとって最も魅力的なコンテンツの1つです。今や動画コンテンツは通勤中や休憩時間など場所や時間を選ばずに消費されるコンテンツです。近年の傾向で、ユーザーは他のコンテンツよりも動画を消費する傾向がみられています。
Googleの調査によると「ユーザーの80%は買いたい商品を探す際は検索エンジンではなく動画で調べる」と報告されています。また、購買力の高いミレニアル世代の40%は「動画を信頼できる情報源である」と回答しています。
例え商品の購買に繋がらなかったとしても、ユーザーが動画を視聴した影響は、動画による潜在的な影響は長い間残ると言われており、文字コンテンツと比較しても、動画は高いユーザー体験を提供することが出来ます。今後さらに、拡張現実・仮想現実(VR/AR)などの最新テクノロジーを駆使することで、最もリアルで魅力的なユーザー体験を生み出すことができるようになるでしょう。
近年では比較的低予算で誰でも簡単に動画を作成することは可能ですが、ブログコンテンツやインフォグラフィックと比較すると、やはり動画の方が制作がテクニックが必要となるうえ、時間とリソース、費用もかかってしまうのが現実です。
<そういった意味では、社長が毎回登場して自社のブレンダーを紹介する「Blendtec’s Will It Blend?」の動画シリーズは、2000万回の再生数を生み出す非常に秀逸な動画コンテンツと言えるのではないでしょうか?>
ホワイトペーパー・電子書籍(e-book)
ウェブサイト上で公開するホワイトペーパーや電子書籍は、ユーザーの氏名やメールアドレスなどの情報を取得することができる優れたコンテンツフォーマットです。ウェブサイト上で見かける「資料ダウンロード」がこのコンテンツフォーマットに当てはまります。
ブログコンテンツでは扱うことのできない、より詳細で深いテーマや専門知識などをホワイトペーパーや電子書籍としてユーザーに提供します。ユーザー自身が興味・関心の高いであろうテーマであればよりダウンロードされやすくなり、リード獲得や最終的な売上を増やすための効率的な情報源となるコンテンツフォーマットと言えるでしょう。
近年では「B2B × 製造業」であっても、ホワイトペーパーや電子書籍などで豊富な情報を提供し、顧客にとって有益な情報を発信する企業が増えてきています。
<Mattei -これまでたくさんの海外のB2Bウェブサイトを見てきましたが、Matteiは最もコンテンツが豊富なウェブサイトの1つです。非常に勉強になるので、B2B製造業の方は、是非、参考にしてみてください。>
事例記事
ユーザー事例や実績はブランドの信頼を向上させるために最も適したコンテンツフォーマットと言っても過言ではありません。ファネルの最下層において最も効果を発揮します。
ユーザー事例を制作するには実際に使用したクライアントに対してインタビューを実施し、そのクライアントがどのような問題を抱えていて、自社の商品やサービスがどのように課題を解決したかをわかりやすく伝えます。製品やサービスの有用性についてを語りることで、潜在顧客の課題はもちろんのこと、同様の課題を抱える既存顧客との信頼獲得へと繋がり、商品やサービス購入のハードルを下げてくれます。
事例コンテンツは、高コストで価値があり、さらに購入のハードルが高い商品やサービスにとって、より重要なコンテンツとなります。
レポート
レポートは、自社のブランドの権威性を確立し、業界内のリーダーとしての地位を確立するために有効なコンテンツです。このコンテンツは、調査研究結果、市場のシェア、トレンド、消費者動向など様々な角度からのコンテンツを制作することができ、バックリンクやリードの獲得などを目的とします。
<特殊ポリマー素材を提供するグローバルメーカーであるアビエント・コーポレーションは、技術データシート・安全データシートはもちろんのこと、素材の安全性に関する調査レポートなど様々なレポートを無料でダウンロード可能な形で公表しています>
ウェビナー
ウェビナーはユーザーとの関係性を深め、学びの場を提供するという点で非常に優れたコンテンツです。ウェビナーを通じてリアルタイムでユーザーと交流し、関係性を深めることができます。ブログや動画、インフォグラフィックなどの一方的なコミュニケーションではなく、インタラクティブなコミュニケーションを提供し、より関係性を深めることができるでしょう。
ポッドキャスト
近年、海外ではポッドキャストはマーケティング施策の一つとして多くの企業が取り入れており、一般的になりつつあるコンテンツの1つです。アメリカ人の55%(1億5500万人)が「ポットキャストを利用したことがある」と回答し、37%(1億400万人)は、「少なくとも月1回はポットキャストを利用している」と回答しています。
ブログやホワイトペーパーなどと比較しても、より多くの情報を伝えることができ、ユーザーとの関係を維持するうえで、容易でユーザーフレンドリーな環境を提供します。また、動画コンテンツのように時間や労力、専門知識といった工数がかからないため、比較的に容易に且つ安価に制作することができるため、海外ではマーケティングやカスタマーリレーションシップ構築に活用する企業が増えてきています。
ポッドキャストは特定のテーマについて話し合う音声型のコンテンツであり、ライブか録音機能を使って制作します。聴衆を集めるためには、一定期間、一貫した制作が必要になります。
<Melrose Wakefield Healthcare– 医療業界や化粧品などの小売り業界は積極的にポットキャストを活用しています>
ポットキャストを活用することで、専門的な知識やストーリーをユーザーに直接提供し、より個人的なレベルでユーザーとの関係を構築することができます。
ソーシャルメディア投稿
世界で45億人が活用するソーシャルメディアは、コンテンツマーケティングにおける重要なツールの1つとなりました。ソーシャルメディアコンテンツが果たす大きな役割は、ユーザーとの関係性を深めユーザーに対してブランドとの関わりを促進させることにあります。ソーシャルメディアマーケティングを成功させるためには、自社のターゲットとなるユーザーに親和性の高いプラットフォームを選定し、ユーザーが価値を感じる投稿の種類が何かを知る必要があります。
LinkedInはB2Bビジネスに親和性が高く、Twitterはパブリックリレーションに優れています。Facebookユーザーは年齢層が高く、テキストベースコンテンツに相性が良いですし、InstagramやPinterestはB2Cや小売り・美容・アートなどにピッタリなプラットフォームです。
海外マーケティングに役立つ!
「ビジネスに最適なSNS選定のヒント」
米国に本社を置く、電気機器・軍用機器の製造を行うGeneral ElectricのInstagramは、B2B製造業にも関わらず、Instagramを非常にうまく活用しています。インフルエンサーとのコラボ、ハッシュタグ戦略など非常に秀逸なSNS戦略を実行しており、現在Instagramのフォロワーは47万人以上を獲得しています。
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メール・ニュースレター
メールマーケティングはデジタルマーケティングの中でも高いROIを実現できる施策の1つです。高度なセグメンテーションと予測可能な結果を提供できるのがその理由です。また、メールは他のフォーマットで作成したコンテンツを活かすこともできる優れたマーケティング施策の1つでもあります。
業界の最新情報や既存のコンテンツを定期的に発信し、自社想起へ繋げ、メールからウェブページなど他コンテンツに遷移、最終的にはユーザーからの問い合わせや商品購入へ繋げることを目的とします。
有料広告
コストがかからない自然流入やSEOに代わるものはないため、有料広告コンテンツに頼りたくない方もいるかもしれません。しかし、有料広告コンテンツはコンテンツマーケティング戦略の一つとして考慮すべきものです。まだ誕生したばかりの新しいブランドが有料広告コンテンツを通じて一気にリード獲得や認知拡大を図ることが可能となります。
有料広告コンテンツはSNSプラットフォーム、Google等の広告プラットフォーム、ランディングページ、純広告等を通じて配信することができます。
適切なコンテンツフォーマットを選ぶには?
多くのコンテンツフォーマットの中から自社のビジネスに適切なフォーマットを選ぶには、いくつか考慮しなければならないポイントがあります。特に人的リソースが限られていたり、予算が取れない(涙)場合など、「とりあえず、やれるところからやってみるか」と、取り掛かってしまいがちですが、やはりそれでは上手くいきません。
下記の3つポイントを考慮したうえで、コンテンツフォーマットを選択することをお勧めします。
1.ユーザーを知る
ユーザーの共感を得られるトピックの選定はもちろんですが、コンテンツの効果を最大化するためには、ユーザーが好むコンテンツフォーマットを選択する必要があります。そのための事前の調査は必要不可欠です。自社のペルソナを設定し、好みや動機、行動習慣などをよく理解しましょう。
- ターゲットとなるユーザーは、どのようなコンテンツを共有していますか?
- オンライン上のどのプラットフォームを好んで利用していますか?
2.カスタマージャーニーに合わせる
ユーザーを理解できたら、次はカスタマージャーニーに合わせてみましょう。
TOFU(Top Of the Funnel )と呼ばれるファネル最上部のユーザーは、自身がまだ課題や問題を自覚していない場合が多いため、より幅の広いテーマを取り上げる必要があります。ブログや動画、ポットキャストなど、情報量の多く含めることのできるコンテンツフォーマットが有効です。
MOFU(Middle Of the Funnel )と呼ばれるファネル中層部のユーザーは、既に課題が明確になり、解決法を探しているユーザーかもしれません。課題に対しての解決方法を提供する必要があるため、課題解決に導くホワイトペーパー、インフォグラフィック、ブログ記事、ウェビナー、ポットキャストなどインタラクティブなコンテンツフォーマットが有効です。
BOFU(Buttom Of the Funnel )と呼ばれるファネルを下層部のユーザーは、製品やサービスに興味がある人だけが残っています。彼らは既に競合他社や類似製品と比較段階に入っており、どのようなサービスが欲しいのかを明確に理解しています。この場合、事例コンテンツやデモンストレーション資料、使い方ガイドなどのコンテンツフォームが有効です。いかに問題を解決できるかを示すコンテンツが最後の一押しとなり、コンバージョンへと導いてくれるでしょう。
3.マーケティング予算に合わせる
予算の設定はコンテンツマーケティング戦略を計画する中で重要な要素です。
コンテンツマーケティングは大規模な広告キャンペーンと比較すると、低予算で実施できる施策です。しかし、動画制作や文字数の多いブログ記事などを完全に外注をすると、なかなかの予算となってしまいます。さらに海外向けコンテンツの場合は、翻訳費用なども追加されてきます。
費用をかければかけるほど質の高いコンテンツを作ることが出来ますが、コンテンツ戦略はブランド認知などの費用対効果を数値として計測することが難しい場合が多く、どの程度予算を割り振るかなどは各企業によって異なってきます。
まとめ
コンテンツマーケティングの戦略を策定する際は、単一のコンテンツフォーマットだけでなく、いくつかのコンテンツフォーマットを組み合わせることでより高い成果を発揮します。また、コンテンツの種類によって長所・短所があるので、施策を実施する前に、しっかりとポイントを理解したうえでコンテンツマーケティングを実施していきましょう。
コンテンツ戦国時代。海外ビジネスでは日本とは比べ物にならないほど、多くのコンテンツで溢れています。新しい顧客を掴み最終的な購入へと誘導するか、また、既存顧客をつなぎ留めいかにしてLTVを最大化させるか、戦略的に考えていく必要があります。
情報が溢れる現代において、海外ユーザーの心を惹きつけるグローバルマーケティングをお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談下さい。お客様ごとに異なるご状況・課題に合わせて最適な戦略をご提案いたします。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。